魳を食しながら思ったこと
先日の一周忌の帰りに、和食をいただきました。
終わったのが12時半でしたので、なにか食べないとね・・・という話になり、デパート
の中にある「なだ万」さんへ。
「本日の焼き魚御膳」に惹かれてのれんをくぐると、落ち着いた素敵な空間がお出迎
え。着物で案内されるだけで嬉しいものですね!
私は10年以上、テーブルコーディネートを教えることを仕事としてきました。
賞をいただいたことも何度かあり、それがきっかけとなり専門学校を4校掛け持ちしま
した。結果、身体を壊しましたが・・・(>_<)
そんな私が細心の注意を払っていたのが、【和食】の席を設える時です。
和食器の取扱い方や季節感の表現などに心を砕き、若い学生さんたちには箸遣いなども
口を酸っぱくして教えていました。
折敷の上のお箸を見て、突然そんなことが頭をよぎりました。思い出って、ふとした時
に思い出されるものなんですね・・・。
そこで!!
今日は、和食を食べる時の必需品! お箸について、語ってみたいと思います。
箸の歴史
箸は、もともとは今でいう「トング」のような形であったとされています。
この話をいつも講義ですると、みんなが「えーっ、そうなの?!」というなんとも不思議な顔をするのが好きでした。笑
今ではちょっとお高い和食のお店(老舗ではなく、創作和食のようなお店)でも、普通
にお取り箸ではなく、「トング」を添えてきますからね。竹製だったりすると、それこ
そ時代を逆行しています。
中国では、戦国時代のお墓から竹でできたピンセット状のものが出土しているんですよ。
箸のマナー(箸置き編)
黒の折敷にセットされた様子を見て、さすがなだ万さん!と感じました。
なにが「さすが」なのか。皆さまも☝の写真を見て、少し考えてみて欲しいのです。
☆…。:。:…☆…。:。:…☆…。:。:…☆…。:。:…☆ …。:。:…☆…。
紙ナプキンが置いてあるから?
紙ナプキンになだ万の銘が印刷されているから?
折敷が漆塗りだから?
確かに間違いではありませんが・・・
箸と箸置きに注目して欲しいのです♬
箸置きから箸先が一寸ほど出ています。これが正しい置き方です。
ちなみに一寸とは約3センチのことです。
3センチほど、箸先が浮くように置かなくてはならないのです。
これが出来てない人・お店が余りにも多いのです。
今は素敵なコーディネートを色々な媒体でみることが気軽に出来ます。
そんな際に気をつけて見てみると、箸先が箸置きにちょこんと乗っている状態のものが
なんと多いことか!
こちらが悪い例です。☟
食べ物で汚れた部分が箸置きについてしまいますね。
本来の箸置きの目的はというと、「汚れた箸先を浮かせる・箸置きの外に出す」ことな
はず!
皆さまもぜひ、箸置きを使う際にはこの話を思い出してくださいね(^^♪
そして、案外ご家庭では箸置きを使っていないという事実に驚いたものでした。
高校生にアンケートを取ると、まずほとんど100%の確率で「箸置きは使っていな
い」というのです。
えっ、食べている最中に箸を置くときはどこに置いてるの?と質問すると、食器の上と
いう答えが・・・
いやいや、それは「忌み箸」のひとつ【渡し箸】といって、してはいけない箸遣
いの代表ですから。
箸をずっと持ったまま、食事を終えることは不可能に近いですよね?
皆さまもぜひ、食卓には箸置きを(*^^*)
私が箸置きをすすめるのにはもう一つ、理由があります。
季節によって食器を使い分けしたいものですが、収納場所にも限りがあります。
スーパーで買ったお刺身もガラスの器に盛りつけるだけで、とっても涼し気で洗練され
た食卓になるのは分かってはいても、そんなにたくさんの種類を買うのは金銭的にも考
えちゃいますね。
そこで活用して欲しいのが箸置きなんです!
食卓の上で一番小さいながらも、季節感を表現してくれるのが【箸置き】という存在。
春には桜の花びらを模したもの、夏にはガラス製や磁器製でもうちわの形をしたもの。
秋には紅葉、冬には陶器でぽってりとした形のものや、磁器製ならウサギを模したもの
など・・・
しかも今どきは100円ショップでたくさんの種類を見つけることができます。
季節感はぜひ、箸置きで表現してみましょう。食卓がランクアップすること間違いなしです!
箸のマナー(箸遣い編)
先ほど、忌み箸に少しだけふれましたが、今日は基本的な箸遣い編ということで
箸先五分、長くて一寸
という言葉を紹介したいと思います。
読んで字のごとし、なのですが「箸先1・5センチだけを汚すのがベスト。出来なけれ
ば3センチ」という、大変恐ろしい(笑)マナーです。
でもまあ、おちょぼ口で可愛らしく食べていた時代の話ですので、今はちょっと時代錯
誤かもしれません。
ただ、【箸先は出来るだけ汚さずに食べる】のが作法です。
許容範囲4センチ以内と心得て、出来るだけ汚さないことを意識してみましょう。
せっかく久しぶりに更新したのに、口うるさいおばさんになってしまったので💦
最後は美味しい写真でお許しください!
先付:もずく酢・アスパラガスの胡麻和え・湯葉
お吸い物:高野豆腐とじゅんさいと海老
じゅんさいがつるんとのど越しよく、高野豆腐の柔らかさが意外で、美味しい一品でした。お出汁が美味しいー♬ 染みわたります!
お造り
焼き物:魳(カマス)の塩焼き
魚の食べ方に自信はありますか?
私は小さいころから魚好きの両親(2人とも新潟県出身・父の趣味は魚釣り)に育てら
れただけあって、自信ありです!
番外編!魚の綺麗な食べ方
昔は魚の上の身を食べたらひっくり返して・・・と言われていましたが、今のマナーは
ひっくり返しません。
上の身を食べたら、左手で頭を持ち、箸で魚の尾の部分に近い骨を持ちそっと浮かせて外します。
外した頭~骨の部分は、お皿の奥側に置きます。
もしあらかじめ今日は会席料理を食べに行くことが分かっている場合には、お懐紙を持
参しましょう。そのお懐紙で頭を押さえつつ外すと、一目置かれますよ。
煮物:ふろふき大根
甘い白味噌としょっぱいおぼろ昆布の相性がバツグンでした!
やっぱり和食は最強ですね。
目でも季節感を楽しめ、食材でさらに「はしり」「旬」「名残り」を楽しむ。
いやー最高です!!
夜遅い時間でも、なんだかお腹が空いてくる~笑
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました♬
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